展示会の顧客管理ツール厳選ガイド|DX時代のおすすめ

展示会の顧客管理ツールが注目される理由

展示会に参加した後、山積みになった名刺を前に途方に暮れた経験はありませんか?

「これらの名刺をどう管理すればいいのだろう」「せっかくの出会いを無駄にしたくない」そんな思いを抱える担当者は少なくありません。3日間の展示会で200〜300枚もの名刺が集まることも珍しくないのです。

展示会の主な目的は新規顧客の獲得です。しかし、多くの企業では名刺獲得や一次商談で終わってしまい、貴重な機会を失っています。

展示会後の名刺管理には、主に以下のような課題があります。

  • 管理がとにかく大変:膨大な量の名刺を効率的に管理するのは容易ではありません
  • 手入力が大変:名刺情報を一つ一つ手作業で入力するのは想像以上に手間がかかります
  • 情報漏えいのリスク:名刺には個人情報が含まれているため、その取り扱いには細心の注意が必要です

こうした課題を解決するために、近年では「展示会の顧客管理ツール」が注目されています。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に相応しい、効率的な顧客管理の方法を探っていきましょう。

展示会の顧客管理ツールの種類と特徴

展示会の顧客管理ツールは、大きく分けて以下の種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1. CRM(顧客関係管理)ツール

CRMは顧客情報を一元管理し、顧客との関係を深めるためのツールです。展示会で獲得した見込み客情報を登録し、その後の営業活動に活かすことができます。

主な機能としては、顧客管理・案件管理、コミュニケーション履歴管理などがあります。氏名や連絡先といった基本情報はもちろん、購買履歴、商談履歴など、あらゆる情報を一元的に管理できるのが特徴です。

2. 名刺管理ツール

展示会で集めた名刺をスキャンし、デジタルデータ化するツールです。OCR技術を活用して名刺情報を自動で読み取り、データベース化します。

手入力の手間を大幅に削減できるため、展示会後の業務効率化に大きく貢献します。また、クラウド型のサービスであれば、場所を選ばずアクセスできる点も魅力です。

3. イベント管理システム

展示会の運営・管理をサポートするシステムです。参加者の登録から受付、フォローアップまでを一括して管理できます。

参加者との事前コミュニケーション、当日の受付、アンケート収集、事後フォローなど、展示会の前後も含めた一連のプロセスを効率化できるのが強みです。

4. 展示会特化型顧客管理システム

展示会に特化した顧客管理システムも登場しています。例えば、フジヤが提供する「ツーカン」は、展示会・イベントに特化した顧客管理システムです。

入退場管理、セミナー参加予約、リアルタイム通知、メール配信などの機能を備えており、リアルとオンラインを「一気通貫」する仕組みを提供しています。

展示会の顧客管理ツール選びのポイント

展示会の顧客管理ツールを選ぶ際には、以下のポイントを押さえておくと失敗が少なくなります。

自社の展示会参加の目的や規模、予算に合わせて最適なツールを選びましょう。

1. データ入力の効率性

展示会で集めた名刺情報をいかに効率よくデータ化できるかがポイントです。OCR機能の精度や、一括取り込みの機能があるかどうかをチェックしましょう。

手入力の手間を省けるツールを選ぶことで、展示会後の業務負担を大幅に軽減できます。特に日本語の名刺は漢字の読み方など複雑な要素があるため、日本語対応の精度も重要です。

2. 他システムとの連携性

既存のCRMやMAツール、SFAなどと連携できるかどうかも重要なポイントです。データの二重管理を避け、シームレスな情報連携ができるツールが理想的です。

APIの提供状況や、主要なビジネスツールとの連携実績をチェックしておきましょう。特に自社ですでに使用しているシステムとの相性は入念に確認することをおすすめします。

3. フォローアップ機能

名刺情報を取り込むだけでなく、その後のフォローアップをサポートする機能があるかどうかも重要です。

メール配信機能やリマインド機能、商談スケジュール管理などがあれば、展示会後のフォローを効率的に進められます。展示会は終わりではなく、そこからが本当のスタートです。

4. セキュリティ対策

名刺には個人情報が含まれているため、セキュリティ対策がしっかりしているかどうかは必ず確認しましょう。

データの暗号化、アクセス権限の設定、ログ管理などのセキュリティ機能が充実しているツールを選ぶことが大切です。情報漏えいのリスクを最小限に抑えるための対策は必須と言えるでしょう。

5. コストパフォーマンス

初期費用や月額料金だけでなく、ユーザー数による追加料金や機能制限などもチェックしておきましょう。

展示会の頻度や規模に合わせて、最適なプランを選ぶことが重要です。使いこなせない高機能なツールよりも、必要十分な機能を持つコストパフォーマンスの高いツールを選ぶことをおすすめします。

DX時代におすすめの展示会顧客管理ツール

ここからは、実際におすすめの展示会顧客管理ツールをいくつかご紹介します。それぞれの特徴を押さえて、自社に最適なツールを見つける参考にしてください。

1. ツーカン(株式会社フジヤ)

「ツーカン」は、展示会・イベントに特化した顧客管理システムです。リアル&オンラインを”一気通貫”する仕組みを提供しています。

主な機能としては、入退場管理、セミナー参加予約、リアルタイム通知、メール配信などがあります。来場者の顧客情報やアクションデータを一括管理できるため、継続的なマーケティングが可能になります。

特に、ノベルティ配布情報やセミナー開始時間などをリアルタイムでスマホに通知する機能は、イベント参加者数アップに貢献します。また、開催後のサンクスメールや次回案内で継続的なアプローチができる点も魅力です。

2. SHANON MARKETING PLATFORM

「SHANON MARKETING PLATFORM」は、様々なイベントの運営・管理を事前から事後まで一元管理できるツールです。参加者との事前コミュニケーションから、当日の受付、事後フォローまでをカバーしています。

イベント告知LPや申し込みフォームの作成、リマインドメールの自動配信、参加証の発行、事前案内、当日の受付、イベント開催後のお礼メール配信など、煩雑な事務作業の自動化や省力化が可能です。

有料イベントのチケット販売や決済対応も簡便にできる点も特徴です。また、参加者や出展者のリストを作成し、データベースとして保存できます。

3. BowNow(バウナウ)

「BowNow」は、無料で使えるMAツールです。展示会で獲得した見込み客情報の管理から、その後のナーチャリングまでをサポートします。

メール配信機能も搭載されており、展示会後のフォローメールを一括で送信できます。また、見込み客の行動履歴を可視化できるため、興味関心の高い顧客を優先的にフォローすることが可能です。

無料プランでも十分な機能が使えるため、初めてMAツールを導入する企業にもおすすめです。展示会での顧客獲得からその後の育成までをシームレスに行いたい企業に適しています。

4. 展示会×営業DX支援パッケージ(DIXI)

DIXIが提供する「展示会×営業DX支援パッケージ」は、展示会での営業DXサービスです。展示会への集客、名刺獲得から一次商談、顧客管理、展示会後の顧客育成までを一括して対応します。

単なる名刺獲得に終わらず、確度の高い商談機会を創出するのが特徴です。集客のために展示会専用HP、チラシやDMの作成、広告運用から、展示会場ではブース毎の出展内容を動画で撮影し展示会サイトやYouTubeにアップ、出展後のフォローや、未会場の方への商談獲得にも繋げます。

導入成果として、過去最高の名刺獲得枚数を記録したり、展示会からの商談化率をアップに繋がった事例もあります。営業プロセスごとに適したリソース強化を実現し、展示会投資の効果を最大化するサービスと言えるでしょう。

展示会顧客管理の成功事例

実際に展示会の顧客管理ツールを導入して成果を上げた企業の事例を見ていきましょう。

これらの事例から、自社の展示会戦略に活かせるヒントが得られるかもしれません。

株式会社東洋新薬の事例

機能性表示食品や健康食品、化粧品・医薬部外品の企画提案、製造受託および原料・素材の研究・開発を行う株式会社東洋新薬は、展示会プロモーション支援を導入し、大きな成果を上げました。

コロナ禍の中でも展示会に出展して新しい見込み先との接点を作りたいという社内要望を受けて、支援サービスを導入。これまでの展示会では、全て社内スタッフのみが対応していましたが、社内スタッフは既存のお取引先との商談もあるため、外部の支援を受けることで、新規見込み先との接点づくりと既存取引先のフォロー両立を目指しました。

結果として、目標を大きく上回る新しい見込み先との接点ができました。コロナ禍の展示会でしたが、名刺の獲得数は同社が過去出展した展示会の中で過去最多の数となり、目標達成率410%を記録しました。

また、オンライン商談という新しい方法も確立することができ、展示会におけるトークスクリプトも作成されたことで、営業活動の標準化にも繋がりました。

プライズ株式会社の事例

テレワーク時代のリアルタイム情報共有ツール「flouu」を開発・販売するプライズ株式会社も、展示会プロモーション支援を導入して成果を上げています。

テック系のスタートアップのため、プロダクトの開発に時間を割きつつ、検証も必要な段階で、自社で営業を抱えるよりもプロに任せてリードを獲得したほうが、現在のフェーズになじむと考えて導入を決めました。

特に、リードの獲得手段として、展示会を出展するタイミングで、展示会での名刺獲得及び、その後のリードフォローを、一気通貫で対応できる会社を求めていたことが決め手になったそうです。

導入前は、アルバイトを雇い、チラシを配り、自分達でフォローコールも実施していましたが、フォローコールの時間が確保できなかったり、電話でのコミュニケーション技術の不足により、リードからの商談化数も満足のいくものではありませんでした。

支援サービス導入後は、1回の出展ごとに何十件と商談化できるようになり、展示会からの商談化率が3倍になりました。また、営業事務側と連携し、半自動で商談が入ってくる体制を作れたことで、経営者自身が商談に集中できる状況を作れたことも大きな成果だったと評価しています。

展示会後の効果的なフォローアップ戦略

展示会で名刺を集めた後、どのようにフォローアップすれば効果的なのでしょうか。ここでは、展示会後の効果的なフォローアップ戦略をご紹介します。

1. スピード感を持ったアプローチ

展示会終了後、できるだけ早くフォローアップを行うことが重要です。展示会は水〜金で開催されるケースが多く、フォローが翌週や翌々週になると、競合に後れを取り、来場者の関心も冷めてしまう可能性があります。

理想的には、展示会終了から48時間以内にファーストコンタクトを取ることをおすすめします。その際、展示会でのやり取りを具体的に言及すると、相手の記憶に残りやすくなります。

2. 顧客のニーズに合わせた情報提供

展示会で把握した顧客のニーズや関心事に合わせて、情報提供を行いましょう。一律同じ内容のメールを送るのではなく、顧客ごとにカスタマイズした内容にすることで、反応率が大きく変わります。

例えば、特定の製品に関心を示していた顧客には、その製品の詳細資料や事例集を送るなど、相手の興味に合わせたアプローチが効果的です。

3. 段階的なコミュニケーション設計

一度のコンタクトで商談に繋がるケースは限られています。長期的な視点で、段階的なコミュニケーション設計を行いましょう。

例えば、最初のコンタクトでは展示会のお礼と簡単な情報提供、次のステップでは関連する有益な情報の提供、その次に具体的な商談の提案、というように段階を踏むことで、自然な流れで商談に繋げることができます。

4. マルチチャネルでのアプローチ

メールだけでなく、電話、SNS、オンライン商談など、複数のチャネルを組み合わせたアプローチも効果的です。顧客によって好みのコミュニケーション手段は異なるため、複数の選択肢を用意しておくことが重要です。

特に重要度の高い見込み客には、メールと電話を組み合わせるなど、確実にリーチするための工夫をしましょう。

5. データ分析に基づく改善

フォローアップの結果を定量的に分析し、継続的に改善していくことも大切です。メールの開封率やクリック率、商談化率などのデータを分析し、効果的なアプローチ方法を見つけていきましょう。

どのような内容、タイミング、頻度のフォローが効果的かを把握することで、次回の展示会でのフォローアップ戦略をさらに洗練させることができます。

まとめ:DX時代の展示会顧客管理の未来

展示会の顧客管理ツールは、単なる名刺管理の効率化だけでなく、展示会投資の効果を最大化するための重要な要素となっています。

特にDX時代においては、デジタルツールを活用した効率的な顧客管理と、それに基づく戦略的なフォローアップが、展示会成功の鍵を握っていると言えるでしょう。

本記事でご紹介した展示会の顧客管理ツールの種類や選び方、おすすめツール、成功事例などを参考に、自社に最適な顧客管理の仕組みを構築してみてください。

展示会は多くの企業にとって大きな投資です。その投資効果を最大化するためには、名刺獲得で終わらせるのではなく、獲得した見込み客を効率的に育成し、商談・成約に繋げていくプロセス全体を設計することが重要です。

展示会×営業DXの時代において、顧客管理ツールの適切な選択と活用は、競争優位性を築くための重要な要素となっています。ぜひ、自社の展示会戦略を見直し、DXを活用した効果的な顧客管理の仕組みを構築してみてはいかがでしょうか。

展示会での名刺獲得から商談化までをワンストップで支援する「展示会の名刺獲得で終わらせない!製造業のための『展示会×営業DX』完全攻略セミナー」も開催中です。展示会投資の効果を最大化したい方は、ぜひご参加ください。