製造業に関わる方々へのインタビューを開始しました。
現在、DIXIでは新サービスの設計に向けて、製造業に関わる方々へのインタビューを開始しています。
今回は、実際にお話を伺う中で見えてきた製造現場の「課題」と、それに対する「対策」の考察についてご紹介いたします。
インタビューは、主に以下の2つの観点で行っています。
- マーケティング
- 業務効率化

マーケティング
【課題】SNSを“販促ツール”として捉えすぎている傾向
製造業の皆さまがマーケティング面で特に悩まれているのは、
「SNSでどうやって成果につなげるのか」「SNSをどのようにビジネスに活かせばいいのか」
といった点ではないでしょうか。
多くの企業がSNSを“売るための手段”として活用しようとしますが、
実際にはその目的は業種やターゲットによって大きく異なります。
たとえば、
- エンドユーザーがBtoC向けの場合は、Instagramなどでブランドの世界観を伝え、ファンを増やすブランディングやファン化のために。
- BtoB向けの場合は、YouTubeで自社技術や事例を発信することで認知度向上・理解促進・リード獲得につなげるために。
- そして近年では、社員の想いや働く姿を発信することで採用ブランディングを強化する目的でも注目されています。
SNSは、画像や動画を使って「見て伝わる」情報発信ができるだけでなく、DMやコメントなどを通じて双方向のコミュニケーションができるのが最大の特徴です。
それにより、企業や製品の印象を深め、長期的な信頼関係を築くことが可能になります。
つまり、SNSは“今すぐ売る”ためのものではなく、
“将来の選ばれる理由を育てるための場”として捉えることが、製造業の発信では重要です。
【対策】中長期的なブランディング運用と社内理解の醸成
SNSを効果的に活用するには、短期的な成果を追うのではなく、
中長期的な視点でブランドの価値を積み重ねていく運用が欠かせません。
そのためには、SNSを「広報」や「販促」だけの担当領域にせず、
経営層を含めてマーケティングの全体戦略の一部として捉える社内理解が必要です。
研修やワークショップを通じて、SNSの役割や効果を組織全体で共有し、
日々の投稿に意味と目的を持たせることで、
「続ける価値」を実感できる体制を作ることが大切です。
継続的な発信を通じて、顧客・業界・求職者からの信頼を育てていくことが、
結果的に売上や採用力といった経営成果につながっていきます。
業務効率化
業務効率化のテーマでは、以下の3つの領域に分けて課題を伺いました。
- 生産管理
- 事務管理
- 営業管理(マーケティング管理)
生産管理:コストの壁
【課題】生産管理に立ちはだかる“コストの壁”
製造業の現場では、生産管理システム(MESなど)の導入において、コスト面のハードルが非常に高いと感じられていました。
実際のインタビューでは、「製造数を機械から手書きでメモして管理している」と語る方もおられます。最新の機器に買い替えるとなると、数億円規模の投資が必要になるケースもあり、これはソフトウェアだけでは解決できず、ハードウェアの刷新も伴うため、非常に大きな負担となります。
このように、生産管理は業務の根幹でありながら、コストの問題からなかなか着手できないという現実がありました。
【対策】補助金を活用した段階的な改善
こうした課題に対しては、県や自治体が提供する補助金制度をうまく活用しながら、段階的に改善を進めていくことが現実的なアプローチであると、ありきたりですが、そう感じています。
ただし、補助金の申請には、導入目的や効果の明確化が求められるため、事前に業務課題を整理し、改善のロードマップを描いておくことが重要です。ここに対するプランニングの支援を求められている印象でした。
事務管理:紙文化の壁
【課題】事務管理に根強く残る“紙文化の壁”
製造業界では、「紙でなければならない」という文化が今も根強く残っています。
販売先からの注文が電話で入ったり、注文書がFAXで届いたりと、取引先の都合によって紙運用を続けざるを得ないという声はよく聞きました。また印象的だったのは「電子化を試したが見落としが増えたため、紙の方が安全だった」という意見です。
普段デスクでPC作業をしている人間から見ると「電子で見落とすのは、個人の注意不足でしょ」と思いがちですが、これは製造現場の方の意見に私は共感できます。学生時代に設営のアルバイトをしていたとき、前日にメールで配置図や機材数などが届くのですが、小さな画面では見づらく、A4の紙に印刷してもらったものを貰ったほうが視認性が高く作業効率が高かったという記憶があります。
なので、「紙で確認する」という行為そのものが、現場にとっての効率化になっている場合もあるのです。
一方で、紙書類を年ごとに保管しているため、過去のデータを検索する際の利便性には大きな課題があるようです。たとえば、不良品や配送ミスが発生した際に、該当する書類を探すのに時間がかかり、業務の非効率さを感じる声はあります。
【対策】紙の利点を残しつつ、検索性を高めるデジタル化
このような状況に対しては、紙の利便性を尊重しつつ、デジタルの強みを補完的に取り入れるアプローチを想定しています。
具体的には、OCR(文字認識)とAI解析を組み合わせることで、紙書類をスキャンして画像および、テキストデータから必要な情報を抽出し、自動的にデータベースに保存する仕組みを導入するといった取り組みです。
現場では従来通り紙で確認しながらも、バックオフィスでは過去データの検索性や集計性が飛躍的に向上します。紙文化を否定するのではなく、「紙のままでもデジタルに活かせる」仕組みを整える必要性を感じました。
営業管理:組織文化の壁
【課題】営業管理ツール(SFA)が定着しない背景
営業管理ツール(SFA)の導入に関しては、「使いこなせない」「結局、入力されなくなる」といった声が多く聞かれました。
この問題の本質は、システムそのものではなく、「KPIや成果を数字で正しく管理する文化」が社内に根付いていないことにあると思います。ツールを導入しても、営業・マーケティング活動を数値で捉える習慣がなければ、入力が形骸化し、活用されないまま終わってしまうといった形です。
【対策】ツール導入と並行した“文化づくり”の支援
こうした課題に対しては、SFAの導入と同時に、「営業やマーケティングを数値で捉える考え方」や「データ活用の基礎」を身につける研修をセットで実施することが効果的だろうと感じました。
単なるシステム導入ではなく、組織全体で「データを活かす文化」に変化する意識が重要です。たとえば、KGI/KPIの効果的な組み立て方の研修などです。
運用の文化的な土壌づくりもセットで支援する必要性があるとわかりました。
以上が、現場の方々へのインタビューから見えてきた課題と、私なりの考察です。
まだインタビューの初期段階ではありますが、こうしたリアルな声を通じて、製造業が抱える本質的な課題をより深く理解できてきました。
今後も、さらに多くの方にお話を伺いながら、課題の解像度を高め、実際に役立つソリューションの形を描いていきたいと思っています!
もし、「自社でもこういう課題がある」「こんな工夫をしている」といったお話がありましたら、ぜひ教えてください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
現在、DIXIでは、企業の業務改善を支援する取り組みを行っております。
業務課題の整理から、ツールに頼らない柔軟性のあるシステム・アプリケーションの開発まで、幅広く対応しています。
もし少しでも「相談してみようかな」と思われたら、ぜひ下記のリンクからお気軽にご連絡ください。
あなたの想いや課題に寄り添いながら、最適な方法をご提案させていただきます。









