【目次】
展示会後の商談率が低い理由と解決策
展示会に出展したものの、その後の商談率が思うように上がらず悩んでいませんか?
展示会は新規顧客獲得の絶好の機会です。しかし、多くの企業では名刺を集めて終わり、あるいは一次商談だけで終わってしまい、本来得られるはずの商談機会を逃しています。実際、展示会は全チャネルの中で最も商談化率が低いという調査結果もあります。
私は15年間で250回以上の展示会に携わってきましたが、展示会後の商談率を3倍に高める方法があります。それは「営業DX」を活用した展示会後のフォローアップにあるのです。

展示会からの商談率が低い主な理由は3つあります。
- 名刺獲得後のフォローアップが遅い、あるいは行われていない
- 獲得した顧客情報の質と量が不足している
- 展示会後の継続的な情報発信がなされていない
これらの課題を解決するには、展示会前から展示会後までの一貫した戦略と、それを実現するための営業DXツールの活用が鍵となります。
では、具体的にどうすれば展示会後の商談率を3倍にできるのか、実践的な方法を見ていきましょう。
展示会で獲得した名刺を商談に変える3つのステップ
展示会で獲得した名刺を効率よく商談に変えるには、3つの重要なステップがあります。
まず最初に押さえておきたいのは、展示会の本当の価値は「名刺獲得」ではなく「商談創出」にあるということです。多くの企業が名刺を集めることに注力するあまり、その後の商談化プロセスを疎かにしています。

ステップ1:名刺情報のデジタル化と一元管理
展示会で獲得した名刺は、できるだけ早く(理想的には当日中に)デジタル化することが重要です。LayerX社の事例では、展示会リードの情報連携スピードを「1営業日から60分」に短縮したことで、商談化率が3.5倍に向上しました。
名刺管理ツールを使えば、スマートフォンで撮影するだけで名刺情報をデータ化できます。さらに、CRMやSFAと連携させることで、営業担当者がリアルタイムに情報を共有し、迅速なフォローアップが可能になります。
展示会の熱が冷めないうちにフォローすることが、商談率を高める最大の秘訣です。
ステップ2:来場者情報の質と量を高める
単なる名刺交換だけでなく、来場者の興味・関心や課題を把握することが重要です。展示会ブースでは、以下の情報を収集するようにしましょう。
- 来場者の業種や職種
- 抱えている課題や悩み
- 検討しているソリューション
- 購買決定のタイミングや予算
- 競合製品の検討状況
これらの情報は、フォローアップの際に個別化されたアプローチを可能にします。情報収集には、タブレットでのアンケート入力や、会話の中で自然に聞き出す方法が効果的です。
ステップ3:優先順位をつけた迅速なフォローアップ
すべての来場者に同じようにフォローするのではなく、商談確度に応じた優先順位付けが必要です。展示会で得た情報から、以下のようにランク分けしましょう。
- A:早急に商談を希望している見込み客
- B:関心はあるが検討段階の見込み客
- C:情報収集段階の見込み客
Aランクの見込み客には24時間以内に電話でフォロー、Bランクには48時間以内にメールでフォロー、Cランクにはメールマガジンなどで継続的に情報提供するといった具合です。
この3つのステップを実践することで、展示会後の商談率を大幅に向上させることができます。
営業DXツールを活用した展示会フォロー戦略
展示会後の商談率を3倍にするには、適切な営業DXツールの活用が欠かせません。ここでは、具体的なツールとその活用法を紹介します。
私が担当した製造業のクライアントは、展示会後の商談率がわずか5%でした。しかし、以下の営業DXツールを導入することで、商談率が15%に向上したのです。

名刺管理・顧客情報統合ツール
展示会で獲得した名刺情報を即座にデジタル化し、既存の顧客データベースと統合するツールです。名刺をスキャンするだけで、会社情報や役職などの基本情報が自動的に入力され、さらに企業情報データベースと連携することで、業界や企業規模などの情報も自動的に補完されます。
これにより、営業担当者は顧客情報の入力作業から解放され、フォローアップに集中できます。また、複数の担当者が同じ顧客にアプローチすることを防ぎ、効率的な営業活動が可能になります。
マーケティングオートメーション(MA)ツール
展示会後のフォローメールを自動配信し、開封率やクリック率を測定するツールです。来場者の興味関心に合わせたコンテンツを配信することで、継続的なエンゲージメントを実現します。
例えば、展示会で製品Aに興味を示した来場者には製品Aの詳細資料を、製品Bに興味を示した来場者には製品Bの事例を自動的に送信するといった具合です。
さらに、メールの開封やリンクのクリックなど、見込み客の行動に基づいてスコアリングを行い、商談確度の高い見込み客を特定することができます。
商談解析AIツール
展示会後のフォローコールや商談の内容を自動的に記録・分析し、成約率を高めるツールです。通話内容をテキスト化し、キーワードや感情分析を行うことで、商談の質を向上させることができます。
例えば、成約率の高い営業担当者の会話パターンを分析し、他の担当者にも展開することで、組織全体の営業力を強化することが可能です。
これらのツールを組み合わせることで、展示会から商談、そして成約までの一連のプロセスを効率化し、商談率を大幅に向上させることができます。
あなたの会社では、展示会後のフォローアップにどのようなツールを活用していますか?
展示会×営業DXの成功事例
実際に営業DXを活用して展示会後の商談率を向上させた企業の事例を見ていきましょう。
展示会は新規顧客との出会いの場です。しかし、多くの企業がその機会を十分に活かしきれていません。ここでは、営業DXを活用して大きな成果を上げた2つの事例を紹介します。

製薬会社の事例:目標達成率410%の名刺獲得
株式会社東洋新薬マーケティング室は、展示会プロモーション支援を導入し、目標を大きく上回る成果を達成しました。
コロナ禍の中でも新規見込み客との接点を作りたいという社内要望を受け、展示会営業代行サービスを活用。これにより、社内スタッフは既存取引先の対応に集中し、新規見込み客の開拓は専門チームに任せるという役割分担を実現しました。
結果として、目標達成率410%という驚異的な名刺獲得数を記録。同社が過去に出展した展示会の中で最多の数字となりました。さらに、オンライン商談という新たな方法も確立し、展示会におけるトークスクリプトも整備されました。
コロナ禍がなければこの発想もなかったかもしれません。予想を大きく上回る結果でしたので、大変感謝しております。
テックスタートアップの事例:商談化率が3倍に
テレワーク時代のリアルタイム情報共有ツール「flouu」を開発・販売するプライズ株式会社は、展示会プロモーション支援を導入し、商談化率を3倍に向上させました。
同社は2年前の展示会では自社で全て対応していましたが、フォローコールの時間確保が難しく、電話でのコミュニケーション技術の不足もあり、リードからの商談化数に満足できていませんでした。
そこで、展示会での名刺獲得から展示会後のリードフォローまでを一気通貫で対応できるサービスを導入。その結果、1回の出展ごとに数十件の商談化を実現しました。
さらに、営業事務側と連携し、半自動で商談が入ってくる体制を構築したことで、経営者自身が商談に集中できる環境が整いました。
これらの事例から分かるように、展示会と営業DXを組み合わせることで、名刺獲得から商談化までのプロセスを効率化し、大幅な成果向上が可能になります。
展示会後の商談率を高める5つの実践テクニック
展示会後の商談率を3倍に高めるための具体的なテクニックを5つ紹介します。これらは私が実際に多くの企業で実践し、効果を確認してきた方法です。
展示会は多額の費用と時間をかけて参加するものです。その投資効果を最大化するためには、展示会後のフォローアップが極めて重要です。
テクニック1:60分ルールの実践
展示会で獲得した名刺情報は、60分以内にデジタル化して担当者に共有するというルールを設けましょう。LayerX社の事例では、情報連携のスピードを「1営業日から60分」に短縮したことで、商談化率が3.5倍に向上しました。
展示会の熱が冷めないうちに連絡することで、来場者の記憶が鮮明なうちにアプローチできます。名刺管理アプリを活用すれば、展示会場でスキャンするだけで即座にデータ化が可能です。
テクニック2:ヒートマップによる優先順位付け
すべての来場者に同じようにアプローチするのではなく、商談確度に応じた優先順位付けを行いましょう。以下の基準でヒートマップを作成します。
- 購買意欲の高さ(検討段階、予算の有無など)
- 決裁権の有無
- 課題の明確さ
- 競合製品の検討状況
これらの要素をスコアリングし、高得点の見込み客から優先的にアプローチします。これにより、限られたリソースを効率的に配分できます。
テクニック3:パーソナライズされたフォローメール
テンプレートメールではなく、展示会での会話内容を反映したパーソナライズされたメールを送りましょう。展示会で聞いた課題や関心事に触れることで、「自分のことを覚えてくれている」という印象を与えることができます。
例えば、「展示会でお話しした○○の課題について、弊社の解決事例をお送りします」といった具合です。開封率とレスポンス率が大幅に向上します。
テクニック4:マルチタッチアプローチ
メールだけ、電話だけといった単一のアプローチではなく、複数のチャネルを組み合わせたマルチタッチアプローチを実践しましょう。例えば、以下のような流れです。
- 展示会翌日:お礼のメール送信
- 3日以内:電話でのフォローアップ
- 1週間後:関連資料の送付
- 2週間後:オンラインセミナーへの招待
- 1ヶ月後:事例集の送付
このように複数回のタッチポイントを設けることで、見込み客との関係性を徐々に深めていくことができます。
テクニック5:バリューベースドフォロー
単に自社製品の売り込みをするのではなく、見込み客にとって価値のある情報を提供するフォローアップを心がけましょう。業界レポート、ホワイトペーパー、事例集など、見込み客の課題解決に役立つコンテンツを提供することで、信頼関係を構築できます。
これらの5つのテクニックを組み合わせることで、展示会後の商談率を大幅に向上させることができます。あなたの会社でも、ぜひ実践してみてください。
展示会×営業DXで実現する持続的な顧客獲得の仕組み
展示会と営業DXを組み合わせることで、一時的な商談率向上だけでなく、持続的な顧客獲得の仕組みを構築することができます。
多くの企業が展示会を単発のイベントとして捉えていますが、実はこれを起点とした継続的な顧客獲得の仕組みを作ることが可能です。その秘訣は、展示会と営業DXの効果的な組み合わせにあります。

展示会を起点としたカスタマージャーニーの設計
展示会での初回接点から成約、そして顧客化までの一連のカスタマージャーニーを設計しましょう。具体的には以下のようなステップです。
- 展示会での初回接点(名刺交換、製品デモなど)
- 初回フォロー(お礼メール、電話など)
- 情報提供フェーズ(資料送付、メールマガジン配信など)
- 関係構築フェーズ(オンラインセミナー、個別相談会など)
- 商談フェーズ(提案、見積もりなど)
- 成約フェーズ(契約、導入支援など)
- アップセル・クロスセルフェーズ(追加提案、関連製品紹介など)
このようなカスタマージャーニーを設計し、各ステップでのコミュニケーション内容や使用するツールを明確にすることで、組織的かつ効率的な営業活動が可能になります。
データドリブンな展示会運営の実現
営業DXツールを活用することで、展示会の効果測定が可能になります。具体的には以下のようなKPIを設定し、データに基づいた展示会運営を実現しましょう。
- 名刺獲得数
- 商談化率
- 商談から成約までの期間
- 展示会起点の売上
- 顧客獲得コスト
- ROI(投資対効果)
これらの指標を継続的に測定・分析することで、展示会の効果を可視化し、次回の展示会戦略に活かすことができます。
展示会と日常の営業活動の融合
展示会で獲得した見込み客情報を日常の営業活動に統合することで、持続的な顧客獲得の仕組みを構築できます。例えば、以下のような取り組みが効果的です。
- 展示会で獲得した見込み客リストを活用したターゲティング広告の配信
- 展示会後のフォローアップで得た知見を活かしたコンテンツマーケティング
- 展示会で高い関心を示した製品・サービスに関するウェビナーの開催
このように、展示会を単なるイベントではなく、継続的な営業・マーケティング活動の一環として位置づけることで、その効果を最大化することができます。
展示会と営業DXを組み合わせた持続的な顧客獲得の仕組みを構築することで、競合他社との差別化を図り、安定した事業成長を実現することができるでしょう。
まとめ:展示会後の商談率を3倍にする営業DX活用法
本記事では、展示会後の商談率を3倍にするための営業DX活用法について解説してきました。ここで重要なポイントを整理しておきましょう。
展示会は新規顧客獲得の絶好の機会ですが、多くの企業が名刺獲得や一次商談で終わらせてしまい、その後の商談創出につなげられていません。しかし、適切な営業DXツールと戦略を組み合わせることで、展示会後の商談率を大幅に向上させることが可能です。
展示会後の商談率を高める3つの重要ステップ
- 名刺情報のデジタル化と一元管理:展示会で獲得した名刺を60分以内にデジタル化し、CRMやSFAと連携させる
- 来場者情報の質と量を高める:単なる連絡先だけでなく、課題や購買意欲などの情報を収集する
- 優先順位をつけた迅速なフォローアップ:商談確度に応じたアプローチで効率的な営業活動を実現する
効果的な営業DXツールの活用
- 名刺管理・顧客情報統合ツール:名刺情報の即時デジタル化と既存データベースとの統合
- マーケティングオートメーション:興味関心に合わせた自動メール配信と行動分析
- 商談解析AIツール:フォローコールや商談内容の記録・分析による営業力強化
実践的な5つのテクニック
- 60分ルール:名刺情報を60分以内にデジタル化して共有
- ヒートマップによる優先順位付け:商談確度に応じた効率的なアプローチ
- パーソナライズされたフォローメール:展示会での会話内容を反映した個別対応
- マルチタッチアプローチ:複数のチャネルを組み合わせた段階的なアプローチ
- バリューベースドフォロー:価値ある情報提供による信頼関係の構築
これらの方法を実践することで、展示会への投資効果を最大化し、持続的な顧客獲得の仕組みを構築することができます。
展示会は単なる名刺集めの場ではなく、新規顧客との関係構築の起点です。営業DXを活用して、その機会を最大限に活かしましょう。
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