展示会×営業DXの導入で得られる5つのメリットとデメリット対策

展示会は新規顧客獲得の絶好の機会です。しかし多くの企業が「名刺は集めたものの、その後の商談につながらない」という課題を抱えています。この問題を解決するのが「展示会×営業DX」の導入です。

展示会での営業活動をデジタルトランスフォーメーションで強化することで、名刺交換から商談、契約までの流れをスムーズにし、ROIを最大化できます。名刺の山を宝の山に変えるための具体的な方法をご紹介します。

展示会×営業DXとは?基本概念と最新動向

展示会×営業DXとは、展示会での営業活動をデジタル技術で効率化・高度化する取り組みです。従来の展示会営業は、名刺交換して終わり、あるいはその場限りの商談で終わることが多く、せっかくの機会を十分に活かせていませんでした。

営業DXを展示会に導入することで、名刺情報のデジタル化から顧客管理、フォローアップまでを一貫して効率化できます。展示会という限られた時間と空間を最大限に活用し、その後の営業プロセスにシームレスにつなげるのが狙いです。

2025年現在、展示会×営業DXの最新トレンドとしては、AIを活用した見込み客の自動スコアリングや、クラウドベースの名刺管理システム、展示会後のフォローアップを自動化するマーケティングオートメーションなどが挙げられます。

特に注目すべきは、展示会前から展示会後までの一連のプロセスを一貫して管理できるプラットフォームの登場です。これにより、展示会で獲得した見込み客情報を営業活動に効率的に活用できるようになっています。

展示会×営業DX導入で得られる5つのメリット

展示会と営業DXを組み合わせることで、多くのメリットが生まれます。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

1. 名刺情報の即時デジタル化による業務効率化

展示会で集めた名刺は、従来なら手作業でデータ入力する必要がありました。この作業は膨大な時間を要し、入力ミスも発生しがちです。

営業DXツールを導入することで、名刺をその場でスキャンしてデジタル化できます。OCR技術の進化により、認識精度は飛躍的に向上しています。名刺1枚あたりのデータ化コストも100円程度と手頃になっています。

データ化された情報はクラウド上で即座に共有でき、営業チーム全体でリアルタイムに活用できるようになります。これにより、展示会終了後すぐにフォローアップを開始できるのです。

2. 見込み客の質の向上と商談成約率アップ

展示会では多くの名刺を獲得できますが、すべてが有望な見込み客とは限りません。営業DXツールを活用することで、獲得した見込み客の質を向上させることができます。

例えば、展示会でのブース訪問者の行動データ(滞在時間、関心を示した製品、質問内容など)を記録し、AIによる分析を行うことで、見込み客のスコアリングが可能になります。これにより、営業リソースを効果的に配分し、成約率を高めることができるのです。

実際の導入事例では、プライズ株式会社が展示会からの商談化率を3倍に向上させたという成果が報告されています。質の高い見込み客に集中することで、限られた営業リソースを最大限に活用できるようになりました。

3. 展示会後のフォローアップ効率化と継続的な関係構築

展示会後のフォローアップは、新規顧客獲得のために極めて重要なプロセスです。しかし、多くの企業がこのフォローアップを十分に行えていないのが現状です。

営業DXツールを活用することで、フォローアップの自動化と効率化が可能になります。例えば、展示会後のお礼メールの自動送信、定期的な情報提供、再接触のタイミング管理などを自動化できます。

さらに、顧客との対話履歴を一元管理することで、複数の担当者が関わっても一貫した対応が可能になります。これにより、長期的な信頼関係を構築し、最終的な成約率を高めることができるのです。

4. データ分析による展示会ROIの可視化と戦略改善

展示会への出展は、ブース代や人件費など大きなコストがかかります。しかし、従来はその投資対効果(ROI)を正確に測定することが難しいという課題がありました。

営業DXを導入することで、展示会の成果を数値化し、ROIを可視化することが可能になります。具体的には、獲得した見込み客数、商談数、成約数、成約額などのKPIを設定し、追跡することができます。

株式会社東洋新薬の事例では、展示会での目標達成率が410%に達し、過去最高の名刺獲得枚数を記録したと報告されています。このようなデータ分析により、次回の展示会戦略を改善し、さらなる成果向上につなげることができるのです。

5. 営業リソースの最適配分による全体効率の向上

企業の営業リソースは限られています。展示会×営業DXの導入により、このリソースを最適に配分することが可能になります。

例えば、展示会では企業側は自社の商品・サービスの紹介に集中し、名刺獲得や一次商談などは専門の代行サービスに任せるという役割分担が可能になります。これにより、それぞれが得意な領域に集中でき、全体の効率が向上します。

また、展示会後のフォローアップコールも、専門のチームに任せることで効率化できます。月額10万円程度の運営費で、アポイント獲得から商談までをサポートするサービスも登場しています。

展示会×営業DX導入時の3つのデメリットと対策

展示会×営業DXには多くのメリットがありますが、導入時には注意すべきデメリットも存在します。ここでは主な3つのデメリットとその対策について解説します。

1. 初期投資コストと運用負担

営業DXツールの導入には、初期費用や月額費用などのコストがかかります。特に中小企業にとっては、この投資が負担になる場合があります。

また、新しいシステムの導入には、社内での運用体制の構築や社員教育なども必要となり、一時的な業務負担が増加する可能性があります。

対策としては、段階的な導入を検討することが挙げられます。まずは名刺管理やフォローアップなど、最も効果が見込める部分から始め、徐々に範囲を広げていくアプローチが有効です。

また、初期費用を抑えたクラウドサービスの活用や、展示会ごとの外部委託なども選択肢となります。例えば、展示会営業代行サービスでは、初期費用10万円/回、営業担当活動費5万円/日からの利用が可能です。

2. 人的接点の希薄化リスク

デジタル化を進めることで、顧客との人的な接点が減少し、関係性が希薄化するリスクがあります。特に日本の商習慣では、対面でのコミュニケーションや信頼関係の構築が重視される傾向があります。

対策としては、デジタルと人的接点のハイブリッド戦略が効果的です。デジタルツールは情報管理や業務効率化に活用しつつ、重要な商談や関係構築の場面では対面でのコミュニケーションを重視するというバランスが重要です。

例えば、展示会では対面での丁寧な対応を行いつつ、その後のフォローアップではデジタルツールを活用するという組み合わせが考えられます。また、オンライン商談ツールを活用する際も、カメラをオンにして顔を見せるなど、人的な要素を意識することが大切です。

3. データセキュリティとプライバシー懸念

顧客情報をデジタル化して管理する際には、データセキュリティやプライバシーの問題が発生する可能性があります。特に個人情報保護法の厳格化により、企業の情報管理責任はますます重くなっています。

対策としては、信頼性の高いベンダーの選定と、社内のセキュリティポリシーの強化が重要です。クラウドサービスを利用する際は、ISO27001などの情報セキュリティ認証を取得しているかどうかを確認するとよいでしょう。

また、顧客情報の取得時には適切な同意を得ること、社内での情報アクセス権限の管理を徹底することも重要です。定期的なセキュリティ研修を実施し、社員の意識向上を図ることも効果的な対策となります。

展示会×営業DX導入の成功事例

展示会×営業DXの導入によって大きな成果を上げた企業の事例を紹介します。これらの事例から、自社への応用ポイントを見つけることができるでしょう。

株式会社東洋新薬の事例:目標達成率410%の成功

機能性表示食品や健康食品、化粧品・医薬部外品の企画提案、製造受託を行う株式会社東洋新薬は、展示会プロモーション支援を導入し、目標を大きく上回る成果を達成しました。

同社はコロナ禍においても展示会に出展し、新規見込み客との接点を作るために、展示会営業代行サービスを活用しました。従来は社内スタッフのみで対応していましたが、既存取引先との商談も多いため、新規見込み客の開拓に十分なリソースを割けないという課題がありました。

営業代行サービスを導入することで、社内スタッフは既存取引先のフォローに集中し、新規見込み客の開拓は専門チームに任せるという役割分担を実現しました。その結果、名刺獲得数は過去最多を記録し、目標達成率は410%に達したのです。

さらに、オンライン商談という新しい方法も確立し、展示会におけるトークスクリプトも整備されました。これにより、次回以降の展示会でも継続的に成果を上げる基盤が構築されています。

プライズ株式会社の事例:商談化率3倍の実現

テレワーク時代のリアルタイム情報共有ツール「flouu」を開発・販売するプライズ株式会社は、展示会プロモーション支援を導入し、商談化率を3倍に向上させることに成功しました。

同社はテック系のスタートアップであり、プロダクト開発に時間を割きながら市場検証も行う必要がありました。自社で営業チームを抱えるよりも、プロに任せてリードを獲得する方が現在のフェーズに適していると判断し、展示会での名刺獲得からフォローまでを一貫して対応できるサービスを導入しました。

2年前の展示会では自社で全て対応し、アルバイトを雇ってチラシを配り、社員がフォローコールを実施していました。しかし、フォローの時間確保が難しく、電話でのコミュニケーション技術も不足していたため、商談化数は満足のいくものではありませんでした。

展示会×営業DXサービスを導入後は、1回の出展ごとに数十件の商談化を実現。営業事務との連携により、半自動で商談が入ってくる体制を構築できたことで、経営者自身が商談に集中できる環境が整いました。

展示会×営業DX導入の具体的ステップ

展示会×営業DXを自社に導入するための具体的なステップを解説します。成功のためには計画的な準備と実行が重要です。

Step1: 現状分析と目標設定

まずは自社の展示会営業における現状と課題を明確にしましょう。名刺獲得数、商談化率、成約率など、現在のパフォーマンスを数値で把握することが重要です。

その上で、展示会×営業DX導入によって達成したい具体的な目標を設定します。例えば「名刺獲得数を前回比150%にする」「商談化率を2倍にする」「展示会ROIを30%向上させる」など、測定可能な目標を立てましょう。

目標設定の際は、業界平均や競合他社の状況も参考にすると良いでしょう。2025年の展示会業界では、デジタル技術を活用した企業の方が、そうでない企業よりも平均して40%高い商談化率を達成しているというデータもあります。

Step2: 最適なツール・サービスの選定

目標が明確になったら、それを達成するための最適なツールやサービスを選定します。展示会×営業DXに関連するツール・サービスには以下のようなものがあります:

  • 名刺管理・デジタル化ツール
  • 顧客管理(CRM)システム
  • マーケティングオートメーションツール
  • 展示会営業代行サービス
  • フォローアップコール代行サービス

選定の際は、自社の規模や予算、既存システムとの連携性、使いやすさなどを総合的に検討しましょう。また、無料トライアルや小規模な実証実験から始めることも有効です。

特に日本市場では、2025年10月に幕張メッセで開催される「営業DX EXPO」など、専門展示会で最新のツールやサービスを比較検討できる機会もあります。

Step3: 社内体制の整備と教育

新しいツールやサービスを導入する際は、社内の体制整備と教育が不可欠です。まずは、プロジェクトの責任者と担当チームを明確にし、導入スケジュールを策定しましょう。

次に、実際にツールを使用する営業担当者やマーケティング担当者への教育を行います。操作方法だけでなく、なぜこのツールを導入するのか、どのような効果が期待できるのかを理解してもらうことが重要です。

また、展示会営業代行サービスを利用する場合は、自社商品・サービスの特徴や強み、ターゲット顧客の特性などを代行スタッフに十分に理解してもらうためのナレッジ共有も必要です。

Step4: 展示会前の準備と戦略立案

展示会の2週間前までには、具体的な戦略と準備を完了させましょう。特に以下の点に注意が必要です:

  • ターゲット顧客の明確化と来場促進策の実施
  • ブースデザインと展示内容の最適化
  • 名刺獲得や商談のための効果的なトークスクリプトの準備
  • 獲得した見込み客情報の管理方法の確立
  • 展示会後のフォローアップ計画の策定

展示会営業代行サービスを利用する場合は、事前の打ち合わせで目標や役割分担を明確にしておくことが重要です。自社は商品・サービスの説明に集中し、新規顧客の接点創出は代行サービスに任せるという役割分担が効果的です。

Step5: 展示会中の実行と即時改善

展示会当日は計画を着実に実行しつつ、状況に応じた即時改善も行いましょう。デジタルツールを活用することで、リアルタイムでのパフォーマンス測定と改善が可能になります。

例えば、獲得した名刺情報をその場でデジタル化し、見込み客の属性や関心度に応じたセグメント分けを行うことで、会期中でも戦略の微調整が可能です。来場者の反応が良くない場合は、アプローチ方法やトークスクリプトを即座に変更するなど、柔軟な対応が重要です。

また、代行スタッフとの情報共有も密に行い、効果的な連携を実現しましょう。クラウドツールを活用することで、リアルタイムでの情報共有が可能になります。

Step6: 展示会後のフォローと効果測定

展示会終了後は、計画に基づいたフォローアップを迅速に実行しましょう。展示会の熱が冷めないうちに、お礼メールの送信や電話でのフォローアップを行うことが重要です。

フォローアップコールでは、展示会での会話内容を踏まえた個別対応が効果的です。デジタルツールを活用することで、担当者が変わっても一貫した対応が可能になります。

また、設定した目標に対する達成度を測定し、ROIを算出しましょう。名刺獲得数、商談化率、成約率、成約金額などの指標を分析し、次回の展示会に向けた改善点を明確にします。

まとめ:展示会×営業DXで競合に差をつける

展示会×営業DXの導入は、単なる業務効率化にとどまらず、競合他社との差別化を図る重要な戦略となっています。本記事で紹介した5つのメリットと3つのデメリット対策を参考に、自社に最適な導入方法を検討してみてください。

特に日本市場では、人的関係を重視する商習慣とデジタル化の両立が成功のカギとなります。デジタルツールを活用しつつも、最終的には人と人との信頼関係を構築することを忘れないようにしましょう。

展示会は多大な投資を伴いますが、営業DXの導入によってその投資対効果を最大化することができます。名刺の山を宝の山に変え、新規顧客獲得の成功率を高めるために、ぜひ展示会×営業DXの導入を検討してみてください。

展示会出展の本来の目的である「新規顧客の獲得」を実現するためには、営業プロセスごとに適したリソース強化が必要です。展示会での名刺獲得から一次商談、顧客管理、そして展示会後のフォローコールまでをワンストップで対応する「展示会×営業DX支援パッケージ」の導入も、効果的な選択肢の一つです。

あなたの次の展示会が、これまでにない成果をもたらすものになることを願っています。

詳細は展示会×営業DX支援パッケージをご覧ください。

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産業機器商社で20年以上にわたりWebマーケティングに携わり、年間7億円の商談を生み出したノウハウを発信!製造業の売上アップに繋がる!SEO、YouTubeでの動画発信、メルマガ、展示会のデジタル化などを活用し営業DXでBtoB商談増加を実現しませんか?毎月製造業向けマーケティングセミナー開催中