展示会で獲得した顧客データを最大限活用するテクニック

展示会で獲得した顧客データの価値とは?

展示会は新規顧客との接点を作る絶好の機会です。しかし、多くの企業が展示会後に名刺を積み上げるだけで終わってしまっています。せっかく獲得した顧客データを眠らせておくのは、ビジネスチャンスを逃す大きな損失です。

実は、展示会で獲得した顧客データは、適切に活用すれば新規顧客獲得の宝庫となります。名刺交換した相手の75%は「情報収集・比較検討段階」にあるという調査結果もあるのです。

展示会で獲得した顧客データを活用せずに放置していると、積極的なアプローチを行っている競合他社に顧客を奪われてしまう可能性があります。マーケティングオートメーションツールを使ったセグメントアプローチや定期的なメール配信で興味関心を醸成している企業に、あなたの見込み顧客は流れていくかもしれません。

では、どうすれば展示会で獲得した顧客データを最大限に活用できるのでしょうか?本記事では、展示会後の顧客データ活用法と、商談化率を高めるための具体的なテクニックをご紹介します。

展示会での顧客データ獲得を成功させる事前準備

展示会での顧客データ活用を成功させるためには、展示会前の準備が非常に重要です。ただ漠然と名刺交換をするのではなく、戦略的なアプローチが必要です。

まず、展示会出展の目的を明確にしましょう。「新規顧客の獲得」「既存顧客との関係強化」「新製品のプロモーション」など、目的によって獲得すべき顧客データも変わってきます。目的が明確になれば、どのような来場者とコンタクトを取るべきかも見えてきます。

次に、ブースの位置取りも重要です。人通りの多い場所、特に会場の出入り口付近やメインの通路に面したブースを確保できると、より多くの見込み顧客と接触できる可能性が高まります。展示会運営会社に事前に確認と交渉を行うことを意識しましょう。

また、展示会の混雑する時間帯や開催日を把握し、人員配置を整えることも大切です。多くの展示会では午後13~16時頃が来場者のピーク時間帯で、開催初日よりも2日目・3日目の方が来場者が多い傾向があります。この時間帯には人員を多めに配置し、営業アプローチの上手いスタッフを必ず配置することで、リードに対応しきれずに機会損失になることを防げます。

さらに、自社のハウスリスト(過去に名刺交換やイベント、Webサイトのお問い合わせフォームなどを経由して蓄積した顧客情報)へのメール配信やWebサイトでの告知を行い、展示会への来場を促すことも効果的です。

あなたは展示会の準備をどのように行っていますか?単なる出展申し込みだけで終わっていませんか?

展示会中の効果的な顧客データ収集テクニック

展示会当日、ブースに訪れる来場者から効果的に顧客データを収集するテクニックをご紹介します。名刺交換だけでは不十分です。より質の高い顧客データを収集するための工夫が必要です。

まず重要なのは、単なる名刺交換に終わらせないことです。名刺には基本的な連絡先情報しか記載されていません。来場者との会話の中から、業種、職種、興味を持った製品・サービス、検討段階、導入時期など、より詳細な情報を引き出し、記録することが大切です。

次に、来場者の温度感(購買意欲の高さ)を判断し、記録することも重要です。例えば、「A:すぐに商談したい」「B:情報収集段階だが興味あり」「C:単なる情報収集」などとランク分けしておくと、展示会後のフォローアップの優先順位付けがしやすくなります。

デジタルツールを活用するのも効果的です。タブレットやスマートフォンを使って、その場で顧客情報を入力できるシステムを導入すれば、紙の名刺を管理する手間が省け、データの即時活用が可能になります。QRコードを活用した来場者管理システムも便利です。

また、アンケートを実施するのも良い方法です。製品・サービスへの関心度、導入予定時期、検討中の競合製品など、ビジネスに直結する情報を収集できます。アンケート回答者には、小さなノベルティを用意すると回答率が上がります。

Single-Line Punch

展示会では、訪問者の本音を引き出す質問力が成功の鍵を握っています。

展示会後の顧客データ活用の3ステップ

展示会が終わった後、獲得した顧客データをどう活用すれば良いのでしょうか?ここでは、展示会後の顧客データ活用の3つのステップをご紹介します。

ステップ1:顧客データの整理と分類

まず最初に行うべきは、獲得した顧客データの整理と分類です。展示会で集めた名刺やアンケート情報は、できるだけ早く(理想的には展示会当日か翌日までに)デジタル化し、CRMやMAツールに取り込みましょう。

次に、顧客を購買意欲の高さや製品・サービスへの関心度などでセグメント分けします。例えば、以下のような分類が考えられます。

  • ホットリード:すぐに商談に進める可能性が高い見込み客
  • ウォームリード:関心はあるが、すぐには購入しない見込み客
  • コールドリード:情報収集段階の見込み客

この分類に基づいて、それぞれに適したアプローチ方法を検討します。

ステップ2:迅速なフォローアップ

展示会後のフォローアップは、スピードが命です。展示会から3日以内に最初のコンタクトを取ることが理想的です。なぜなら、時間が経つにつれて、来場者のあなたの会社や製品・サービスに対する記憶は薄れていくからです。

ホットリードには電話でのアプローチが効果的です。展示会での会話を振り返りながら、具体的な商談の日程調整を行いましょう。ウォームリードには、展示会でのお礼と追加情報の提供を目的としたメールを送ります。コールドリードには、ニュースレターへの登録を促すなど、長期的な関係構築を目指したアプローチが適しています。

私が過去に関わった製造業のクライアントは、展示会後3日以内にフォローの電話をかけることで、商談化率が従来の2倍になった実績があります。スピード感を持ったフォローアップが、成約率を大きく左右するのです。

ステップ3:継続的な関係構築

一度のフォローアップで終わらせず、継続的な関係構築を行うことが重要です。特に、すぐには購入に至らないウォームリードやコールドリードに対しては、長期的な視点でのナーチャリング(育成)が必要です。

定期的なメールマガジンの配信、セミナーや勉強会への招待、業界情報や役立つコンテンツの提供など、様々な接点を持ち続けることで、購買意欲を徐々に高めていきます。MAツールを活用すれば、顧客の行動(メールの開封、リンクのクリックなど)に基づいて、自動的に最適なコンテンツを提供することも可能です。

あなたは展示会後、どのくらいの期間、獲得した見込み客とコンタクトを続けていますか?

顧客データを最大化するためのツールとテクノロジー

展示会で獲得した顧客データを最大限に活用するためには、適切なツールとテクノロジーの活用が欠かせません。ここでは、顧客データ活用を効率化・最大化するためのツールとテクノロジーをご紹介します。

名刺管理・データ化ツール

まず基本となるのが、名刺管理・データ化ツールです。紙の名刺をスキャンしてデジタルデータ化し、検索や分類を容易にするツールは多数存在します。OCR(光学文字認識)技術の進化により、高精度で名刺情報を読み取り、データベース化することが可能になっています。

例えば、クラウド型の名刺管理サービスを利用すれば、スマートフォンで名刺を撮影するだけで自動的にデータ化され、社内で共有できます。展示会中にリアルタイムでデータ化できれば、その日のうちにフォローアップを開始することも可能です。

CRM(顧客関係管理)システム

名刺データを取り込んだ後、それを活用するためのCRMシステムも重要です。CRMを活用することで、顧客との接点履歴を記録・管理し、適切なタイミングでのフォローアップが可能になります。

CRMシステムでは、顧客の基本情報だけでなく、どの製品・サービスに興味を示したか、商談の進捗状況、過去のやり取りの履歴など、様々な情報を一元管理できます。これにより、営業担当者が変わっても一貫した対応が可能になり、顧客満足度の向上にもつながります。

特に、複数の展示会に出展する企業にとっては、過去の展示会での接点情報も含めた顧客データの蓄積が、長期的な関係構築に役立ちます。

MA(マーケティングオートメーション)ツール

より高度な顧客データ活用を目指すなら、MAツールの導入も検討すべきです。MAツールを活用することで、顧客の行動(メールの開封、Webサイトの閲覧など)に基づいて、自動的に最適なコンテンツを提供する「ナーチャリング」が可能になります。

例えば、展示会後に送ったお礼メールを開封し、特定の製品ページにアクセスした顧客には、その製品に関する詳細資料を自動的に送信するといった施策が実現できます。これにより、顧客の興味・関心に合わせたパーソナライズされたアプローチが可能になり、商談化率の向上が期待できます。

Dense Insight

展示会で獲得した顧客データの活用は、単なる名刺のデータ化から始まり、CRMでの一元管理、そしてMAツールによる自動化へと進化しています。これらのツールを組み合わせることで、限られたリソースでも効率的に顧客フォローを行い、商談化率を高めることが可能です。特に中小企業にとっては、少ない人員でも多くの見込み客にアプローチできるため、展示会投資の費用対効果を大きく高められます。また、データの蓄積によって、どのような顧客層が自社製品に興味を持ちやすいかなどの傾向分析も可能になり、次回の展示会戦略にも活かせるでしょう。さらに、これらのデジタルツールは、テレワークが普及した現代においても、場所を選ばず顧客データを活用できるメリットがあります。

成功事例に学ぶ顧客データ活用の実践ポイント

実際に展示会で獲得した顧客データを効果的に活用し、成果を上げている企業の事例から、実践ポイントを学んでみましょう。

ある機能性食品を扱う企業では、展示会での目標達成率410%、過去最高の名刺獲得枚数を記録したという事例があります。この企業では、コロナ禍の中でも新しい見込み先との接点を作りたいという社内要望を受けて、展示会プロモーション支援を導入しました。

従来は社内スタッフのみで対応していましたが、既存取引先のフォローと新規見込み先の開拓を両立させるため、外部の専門サービスを活用。その結果、目標を大きく上回る新規見込み先との接点を作ることに成功しました。

また、テレワーク時代のリアルタイム情報共有ツールを提供するスタートアップ企業の事例では、展示会からの商談化率が3倍になったという成果が報告されています。この企業では、展示会後3日以内にフォローの電話をかけることを徹底し、営業事務側と連携して半自動で商談が入ってくる体制を構築しました。

Breathe-Space

これらの成功事例から学べる実践ポイントは何でしょうか?

まず、専門性の高いスタッフによる対応が重要です。

自社の強みを活かしつつ、不足している部分は外部リソースを活用する柔軟さが成功につながっています。

成功のための5つの実践ポイント

これらの事例から、以下の5つの実践ポイントが浮かび上がってきます。

  • 明確な目標設定:名刺獲得数や商談化率など、具体的な数値目標を設定する
  • 役割分担の最適化:既存顧客対応と新規顧客開拓の役割を明確に分ける
  • スピード感のあるフォロー:展示会後3日以内のフォローアップを徹底する
  • デジタルツールの活用:名刺管理やCRMなどのツールで効率化を図る
  • 継続的な改善:過去の展示会の成果を分析し、次回に活かす

特に注目すべきは、「スピード感のあるフォロー」の重要性です。展示会直後は、来場者の記憶に自社の印象が残っている貴重な時期です。この時期を逃さず、素早くアプローチすることが商談化率を高める鍵となります。

あなたの会社では、展示会後のフォローアップにどれくらいの時間をかけていますか?3日以内のフォローアップを実現できていますか?

展示会×営業DXで顧客データ活用を次のレベルへ

展示会で獲得した顧客データの活用をさらに高度化するには、「展示会×営業DX」という考え方が効果的です。ここでは、展示会と営業DXを組み合わせることで、顧客データ活用を次のレベルへと引き上げる方法をご紹介します。

展示会×営業DXとは、展示会での名刺獲得から一次商談、顧客管理、展示会後の顧客育成までを一括して対応するアプローチです。多くの企業では展示会での名刺獲得や一次商談で終わってしまい、貴重な機会を失っていますが、このアプローチでは展示会での新規獲得経路の全てをカバーし、確度の高い商談機会を創出します。

Narrative Flow

「展示会の準備って本当に大変なんですよね」と、ある製造業の営業部長は言います。「ブースのデザインから、当日の人員配置、そして展示会後のフォローアップまで、全てを自社だけでやろうとすると、リソースが足りなくなってしまうんです」

「でも、展示会×営業DXの支援サービスを導入してからは状況が一変しました。展示会専用HPやチラシの作成から、展示会場でのブース運営、そして展示会後のフォローアップまで、全てをワンストップでサポートしてもらえるんです」

「特に効果的だったのは、展示会で獲得した名刺のデータ化と、その後のフォローアップコールです。以前は名刺を獲得しても、その後のフォローが遅れがちで、せっかくの見込み客を取りこぼしていました。でも今は、クラウド型の名刺管理システムで即時データ化し、専門のスタッフが適切なタイミングでフォローアップコールを行ってくれるので、商談化率が大幅に向上しました」

「実際、導入前と比べて商談化率は3倍になりました。展示会への投資対効果が格段に上がったと実感しています」

展示会×営業DXの主な特徴

展示会×営業DXの主な特徴は以下の通りです。

  • 集客強化:展示会専用HP、チラシやDMの作成、広告運用などで集客を最大化
  • コンテンツ活用:ブース毎の出展内容を動画で撮影し、展示会サイトやYouTubeにアップ
  • データ管理:クラウド型名刺管理システムによる即時データ化と共有
  • フォローアップ:専門スタッフによる展示会後のフォローアップコール
  • 継続的な情報発信:展示会期間終了後も継続的に情報発信し、商談獲得を促進

この「展示会×営業DX」アプローチは、特に以下のような課題を抱える企業に効果的です。

  • 既存顧客ばかりがブースに訪れ、新規顧客とのつながりが少ない
  • セミナー開催しても商談に繋がらない
  • 名刺を獲得して積み上げるだけで終わってしまう

展示会×営業DXを導入することで、営業プロセスごとに適したリソース強化を実現し、展示会投資の効果を最大化することができます。企業とDXサービス提供者がそれぞれの得意領域を活かした役割分担で、展示会場での営業効率を最大化するのです。

展示会への投資は決して安くありません。だからこそ、獲得した顧客データを最大限に活用し、投資対効果を高めることが重要です。展示会×営業DXは、その効果的な解決策の一つと言えるでしょう。

まとめ:展示会で獲得した顧客データを活用するための7つのポイント

展示会で獲得した顧客データを最大限に活用するためのポイントを、7つにまとめました。

1. 事前準備の徹底:展示会の目的を明確にし、ターゲット顧客を定義する。ブースの位置取りや人員配置も戦略的に行う。

2. 質の高いデータ収集:単なる名刺交換に終わらせず、顧客の興味・関心、購買意欲などの情報も収集する。デジタルツールやアンケートを活用するのも効果的。

3. 迅速なデータ化と整理:獲得した名刺やアンケート情報は、できるだけ早く(理想的には展示会当日か翌日までに)デジタル化し、購買意欲の高さなどでセグメント分けする。

4. スピード感のあるフォローアップ:展示会から3日以内に最初のコンタクトを取る。特にホットリードには電話でのアプローチが効果的。

5. 継続的な関係構築:一度のフォローアップで終わらせず、定期的なコンタクトを続ける。メールマガジン、セミナー招待、コンテンツ提供などを活用。

6. 適切なツールの活用:名刺管理ツール、CRM、MAツールなどを活用し、効率的な顧客データ管理とフォローアップを実現する。

7. 展示会×営業DXの導入検討:展示会での名刺獲得から一次商談、顧客管理、展示会後の顧客育成までを一括して対応するサービスの活用も検討する。

展示会で獲得した顧客データは、適切に活用すれば大きなビジネスチャンスとなります。しかし、多くの企業がその価値を十分に引き出せていないのが現状です。本記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひ顧客データ活用の取り組みを強化してみてください。

展示会は単なる名刺集めの場ではなく、新規顧客獲得のための重要な起点です。その起点から確実に商談、そして成約へとつなげるためのプロセスを確立することが、展示会投資の費用対効果を高める鍵となるでしょう。

展示会での顧客データ活用に課題を感じている方は、ぜひ専門家のサポートも検討してみてください。

展示会の名刺獲得で終わらせない!製造業のための『展示会×営業DX』完全攻略セミナーでは、展示会での顧客データ活用を成功させるための具体的な方法論や事例を学ぶことができます。

この記事が参考になったら、シェアして下さいね!
ABOUT US
BtoB製造業のWeb&SNS戦略パートナー|株式会社DIXI(ディクシー)
産業機器商社で20年以上にわたりWebマーケティングに携わり、年間7億円の商談を生み出したノウハウを発信!製造業の売上アップに繋がる!SEO、YouTubeでの動画発信、メルマガ、展示会のデジタル化などを活用し営業DXでBtoB商談増加を実現しませんか?毎月製造業向けマーケティングセミナー開催中